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BRHジャーナル
注目されるアート思考

イノベーションとは「社会に価値を持たらす革新」(エベレット・ロジャーズ)とされる。

現代のイノベーションは、近代で実現した科学者やエンジニアによる「技術の革新」だけに頼ることは限界があり、従来の論理思考だけも太刀打ちできない。そこで今、デザイナーやアーティストの潜在能力を活かすことが注目されているのだ。

従来の考え方、それは デザイナー(問題発見と解決)によるデザイン思考(創造的な問題解決)であり、これは、ユーザの不満を解消し便益を提供する方法である。しかしこの考え方から次のようなものを生み出すのことは難しいとされる。

例1)そもそも問題解決が価値創造につながらないもの

→扱いづらさに価値があるもの

例2)問題すら存在しないもの

→娯楽用品のように無くても別段困らないもの

例3)ユーザーがいまだ存在しないもの

→利用用途すら明確でない最先端技術の用途開拓など

そこで、

アーティスト(問題提起)によるアート思考(常識を揺さぶる、議論を巻き起こすこと)に注目が集まっている。

この思考は、常識外れのものや非現実的なものを生み出すことが得意で、問題解決が価値創造につながらないようなものも生み出すことができる。ただ、有用性の追求や全身的なイノベーションは得意ではない。そもそもデザイン思考とアート思考の志向は異なるのだ。

これが、アートの活動のイメージだとすると、その力を企業活動に取り込みイノベーションを起こすということになる。

 

引用・参考)森永泰史「デザイン思考とアート思考」日本経済新聞朝刊21年5月『やさしい経済教室』連載より

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