デザイン思考はユーザーイノベーションとは異なる。
ユーザーイノベーションの考え方は、「わざわざ企業がニーズを拾い上げてアイディアを考えなくても、ユーザーには少ないながらもアイディアの保有者が存在するので直接ユーザーにアイディアを尋ねればよい」というもの。したがて、
・優れたアイディアを持つところからそれは引き出すべき(リードユーザー法)
・特定のコミュニティ(ユーザー起動法)
・不特定ユーザーからアイディアを募ればよい(クラウドソーシング)
などがあるとされたきた。
他方、デザイン思考は「アイディアの源泉はユーザーの頭の中の未意識領域にあり、明確な答えを有しておらず、ヒントのみ有する」という前提に立っている。
したがってこちらが観察して、ヒントや答えをこちらが導き出す必要がある。しかもそれらは個々に違いがある。それら言語化できないニーズをどうやって浮かび上がらせるのかがポイントになる。
このプロセスは、スタンフォード d.school の「デザイン思考の5段階」などとして示されている。
1. 共感/理解
2. 定義・明確化
3. アイディア造り
4. プロトタイプ
5. テスト
「観察を通じて」ユーザーを理解することに、デザイン思考の特徴があるのだ。
何かを行い、何かを達成したい時に、私たちは組織をつくる、組織を活用する。組織に頼る。
一人のひとの能力の限界を超えるための手段として、組織をとらえられる。しかし、人はそのような組織に依存してしまうことがある。そもそも生物が集団で行動することには、そのようなことが起こることが知られている。助け合うことが自然なのだ。
集まった人の総和を超える以上のことが組織では生まれなければならない。そうでなければ組織でやる必要が無い。もちろん、同じ目的をもった人たちが集まっていることが前提だ。
経営学の最初の問いかけは、効果的な分業を考えることである。
その後、そのデメリットを補完する調整方法を検討する。階層による調整が、現在でも有力な調整手段である。
組織の構造づくり(イメージは「組織図」)で分業が実現された後に、しくみやルール(イメージは「マニュアル」や「ルーチン」)などでその活動の調整方法が示されるのだ。